私のおうちは母子家庭で3人兄弟がいます。
母は一人で3人の子どもを育ててくれて大学(短大)まで行かせてくれました。
母が苦労してきたのを知っていた私は「4年制大学には行かずに、短大を出て、卒業したらすぐ働こう」と思っていました。
うちには4大に行くお金なんてなかったからです。
私は19歳で短大を卒業してからずっとフルタイムで働いてきました。
友達が大学で学生生活を満喫している中、私は朝6時から遅いときは23時まで、ずっと働きづめでした。
お給料が出ていればまだよかったのかもしれませんが、残業代のほとんどは支払われず、タイムカードを切ってから仕事をする毎日でした。
定時なんて無いも同じで、休日出勤は当たり前。
1週間に1日休みがあるだけ幸せだと思っていました。
とはいっても休みの日も時間を見つけては残った仕事をする毎日。
自分の時間なんてほとんどありませんでした。
上司はすぐ切れる人。
怒ると怒鳴るのは当たり前。
殴られはしませんでしたが、私が女というのもお構いなしにゴミ箱を蹴っ飛ばしながら罵声を浴びせてきました。
休みの日も「引き出しの上が汚い」とわざわざ電話がかかってきて怒られました。
あるとき全社会議があると本社に行ったらある従業員の方が亡くなったと聞かされました。
あきらかな過労死でした。
亡くなったのは奥様とお子様もいらっしゃる40代の働き盛りのパパさんでした。
そんな従業員を抱える会社の社長は淡々とした口調で「今回のことは誠に残念です。皆さんも思いつめることなく、困ったら周りに相談しましょう。」なんていって黙とうをさせられました。
「それ以外になんか言うことあるんじゃないの?サービス残業&パワハラなんて日常茶飯事だよ?」
内心私はそう思っていました。
そうです。私はいわゆるブラック企業に勤めていました。
毎日朝早く出かけ、夜遅くに帰ってくるハタチそこそこの私を見て母はすごく心配していました。
でも私は「最低でも3年働かなきゃ、社会人としてダメになる」。
そう思って働き続けていました。
「就職したら3年は続けないとだめ」なんて言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、私もその言葉を信じて毎日頑張っていました。
何とか細切れの休みと睡眠時間をとりながら、ギリギリの精神状態で働き続けていた私にある転機が訪れました。
私が19歳の時に新卒で入って3年目に突入するとき、「大学卒の女の子が入社したからマンツーマンで指導をしてほしい」といわれました。
いわゆる「新人教育トレーナー」に任命されたのです。
新人教育トレーナーは代々業績のいい社員が選ばれる立場でした。
私は、自分でいうのも何なのですが、同期の中で一番業績が良かったのです。
週休1日で朝から晩まで働き続けてきた甲斐があった、頑張りが評価されたんだ、と嬉しかったのを覚えています。
3人兄弟の長女として過ごしてきた私は人の面倒を見たり、人に何かを教えるのが好きでした。
なのでトレーナーとしての業務を依頼されたとき、私の「存在意義ができた」と思い、快く引き受けました。
新入社員や部下の指導をされたことのある方はお分かりかもしれませんが、正直言って自分の仕事をしながらほかの子に何かを教えるのってとっても大変です。
物わかりのいい子ならまだいいのですが、物わかりの悪い子に教えるのは本当に根気が必要ですし、体力も気力も必要です。
私が指導していた子は後者でした。
「ここはこうしておいた方が効率良いよ」
「ここは大事だからメモしておいてね」
丁寧に教えていたつもりでしたが、なかなか身にならず、メモはきちんと取ってはいたのですが、実行できない状態が続いていました。
でも、私はこのとき社会人3年目であったとはいえ、年齢は21歳のひよっこです。
今思うと私の指導が良くなかったから新入社員の子が思うように動いてくれないと思ってしまったのではないかと思うのですが、その当時はそんなことに気づくことができませんでした。
勝手に一人でストレスだけ溜めていって、新入社員の子をきつく叱ってしまう事もありました。
女の子は泣いていました。
でも毎日が精いっぱいの私に彼女を気遣う余裕はありませんでした。
ある時上司と話す機会があり、新入社員の子について話していたのですが、ふとした時に上司からある衝撃の事実を聞かされました。
「まぁ●●(新入社員の子)はまだ大学出たばっかりだし慣れてないんだろう。▲▲(私)は短大卒で●●よりも給料は低いし、やりきれないこともあるかもしれないが、先輩として教えてやってくれ」
といわれたのです。
数か月前に入社したばっかりの●●さんが、どうして私よりもいいお給料もらっているの?
一瞬息ができなくなるくらい衝撃的でした。
そう。
うちの会社は大学卒は月給21万、短大・専門卒は月給18万と、短大卒と大学卒の初任給が違っていたのです。(多くの会社はそうかもしれませんが)
年々お給料が上がる「昇給制度」もありましたが、それは「年齢給」というもので、1歳年を取るごとにお給料が上がる制度でした。
その金額は年2000円アップ。。スズメの涙ほどの昇給でした。
大学卒と短大卒では初任給の額が違うというのはもちろん会社の募集要項に載っています。
でも、私はそのことが全く頭にありませんでした。
上司との何気ない会話でそのことを思い出し、急激にやる気がなくなりました。
こんなに頑張っても「大学を出た」というだけで短大卒の私のお給料は楽に抜かれる。
私の努力は何だったんだろう
と思いました。
この日の数か月後、私はこの会社を退職することにしました。
入社してから3年6か月後のことでした。
「大学を出たというだけでお給料が多い」というのは語弊があるかもしれません。
大学に行くためにものすごく勉強するでしょうし、大学に入ってからもたくさん勉強するでしょう。
お金もものすごくかかりますよね。
親から出してもらうお金だけじゃ足りずに、自分でバイトをしながら大学に通っている方もいらっしゃると思います。
私は一人で3人の兄弟をここまで育ててくれた母に、これ以上負担をかけたくないという理由で大学には行きませんでした。
でも、大学に行けていたら今回のような理由で会社を退職することはなかったのかな、と思います。
ですので、自分の子どもには親に遠慮することなく、自分の好きな道を歩んでほしいと思います。
短大ではなく、大学に行けばもっと視野が広がるでしょうし、人脈も広がるでしょう。
将来進む道もたくさんの分かれ道ができて、やりたいことがたくさん出てくるかもしれません。
迷うこともあると思うのですが、その迷いも人生の楽しさではないかなと思います。
どの道に進もうか迷ってしまうくらい自分の子どもにはゆとりをもって人生過ごしてほしいと思います。
ここまでの長文、お読みくださりありがとうございました(*^^*)
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